狂咲/竹森
なキャンバスに絵具を塗りたくられてさ、可哀そうなネズミたち。ネズミは影に潜み、僕らはここで王様になる。もう少しだけ、目を閉じていて。そうすればすぐに終わる。)
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そうして、ぬくもりとなった恋人は私の掌に収納されて。薬指にはめた指輪はそんな倉庫から逃がさない為の鍵なんだね。どうか春が来るまではこのままでいさせて。あなたはあまりにも繊細だから、まだここから出るべきじゃないよ。路面が氷結して坂道でアパートはビルよりも少しだけ速く滑走する(富士山なら逆だった?)。地平線の向こうには何があるのだろうね。そんな事をあなたはどうして私に訊くのだろうね。喉も口もどこにもないのに。手首を鼻孔に寄せると開く
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