流転/MOJO
立ち止まる。青信号になっても、歩き出すことができない。そういう些細なことから始まって、朝、どうしてもベッドから出ることができず、欠勤してしまう。それが何日も続く。「もうだめだ」が口癖となり、自分は生きるのに値しない人間だ、との思いに囚われる。
「鬱病ですね。少し静養されたほうがいい」
心療内科のドクターはそう言った。しかし、制作金物の会社には「静養」など、許される雰囲気はなかった。やむなく、私はその会社を辞めた。
静養してみたが、心は焦るばかりである。僅かな蓄えと失業保険があるうちはいいが、それから先はどうなるのだろう。そう考えると胸が張り裂けそうで、とても静養している気分にはなれなかっ
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