消失の夏術/ただのみきや
 
輝き 寄せる波と飛沫
 限りなく 停止しかけたもの
 本当に解らなくなった
 《右だ もっと左 行き過ぎだ
 右はこちらから見て右なのか
 左は向こうから見て左なのか
 本当に解らなくなって
 渾身の力で振り下した
 なにも無い 熱い砂が
 幼い意思も願いも力も吸い取って
 尚も焼けていた
 完全に停止した
 
   海 う み  う う う み  


 熟れ 落ちる 木から 実が
   踏まれ 甲虫が 潰される 車に

死という 痕跡 いのちの 残して
失踪する メモリーから あなたは

 空白に 描かれた窓 誰一人として  
   壁が
   
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