白鳥央堂詩集『晴れる空よりもうつくしいもの』について/葉leaf
 
だけだ。それに対して読者はあらゆる解釈体系を動員して、自由な解釈を行うことができる。詩におけるコミュニケーションにおいて、基本的には読者が優位に立つのである。

春走るバスは
天国を抜けて
フィンランド語教室へ
夜走るバスは
暗い雨雲の天井して
フィンランドの言葉の教室へ
急襲するか
そうしよう
「こちら未来から過去、応答願いますどうぞ」
答え方はどうせわからない
急襲しよう
そうしよう
       (「春はふたりぼろバスの最前に飛び乗って盛大に燃やすゴミの詩」)

 ところで、白鳥は上のような詩行も書いている。非常に意味が通りやすいため、一読して、「これは詩とい
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