白鳥央堂詩集『晴れる空よりもうつくしいもの』について/葉leaf
 
読者も社会における予めの合意というものを手掛かりに意味や価値を確定することはできない。あくまでも、作者の孤独な提案に対して、読者もまた孤独に、どのように意味づけ・価値づけしていくか、という実験が詩におけるコミュニケーションの内実なのである。
 詩におけるコミュニケーションでは、それゆえ読者の方が優位に立ちやすい。そもそも作者は、意味や価値が不確定なものを、意味や価値に満ちたものとして提案してくるわけであるが、それが本当に意味や価値に満ちたものであるかどうかを決定するのは基本的に読者である。詩集というコミュニケーションの場において作者に釈明の余地はない。あるのは詩集の、意味や価値が未確定な言葉だけ
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