ギフト/吉岡ペペロ
りしただけだった。手をつないだことにすこし罪悪感はあったけれど、それ以上のことはなんにもなかった。
久美ちゃんはお店の人気者だった。ちょっとドジでよくしゃべるあけっぴろげな可愛い娘だった。
マスターはいつも久美ちゃんや山田さんに、レジのときお客さんの手に下から絶対触れろと命じていた。
大悟は久美ちゃんがそうするたびに胸が痛んだ。山田さんはマスターに言われてもそれをしなかった。大悟の目を気にして大悟のいるときだけしていなかったのかも知れない。
そう言えば山田さんと初めてデートしたときもマスターからもらった映画を観に行った。
マスターには学歴コンプレックスがあるようだった。近ごろの大学生
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