ギフト/吉岡ペペロ
 
学生は、というような話をやたらとした。こんなバイトやめてやろうかと思うくらい、その手の話は執拗だった。
山田さんはたしかに大悟にとって初めてだった。何回目かのデートのとき、電車がなくなって駅の構内で始発を待つことにしたことがある。大悟たちだけではなくておなじような若者がたくさんいた。
そのなかの一群に、身ぶり手ぶりだけで会話している若者たちがいた。
「こんなこと言うたら、誤解されるかも知れへんけど」大悟は山田さんを見ずにつぶやいた。
「あのひとたち、なんや妖精みたいやなあ」
山田さんが大悟の視線を追った。
「え、妖精?」山田さんは言葉を詰まらせてから、
「ほんまや、妖精やわ」そう言っ
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