ギフト/吉岡ペペロ
言って目をみひらいた。
大悟はめのまえで繰り広げられる妖精たちの宴を天からの贈り物のように眺めていた。山田さんの髪の毛が肩に載っかっていた。
乗客が中腰になって外を見ていた。大悟も中腰になった。車外からクラクションが断続的に鳴っていた。クラクションを鳴らしているのは原付だった。大悟はそれがはじめ自分へのクラクションだと気づかなかった。久美ちゃんがヘルメットもせずにレインコートも羽織らずに原付に乗っているのが見えた。
立ち上がって車窓に両手をあてた。
なにか叫んでいる。静かに行かせてくれ。なにを叫んでいる。女声のアナウンスが停車を告げている。「質・買取りの杉本商店にご用の方は次の……」大
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