ギフト/吉岡ペペロ
」大悟は降りますのボタンを押した。危ない。久美ちゃんがバスにぶつかりそうだ。久美ちゃんを殺さないでよかった。久美ちゃん頑張れ。大悟は久美ちゃんになんどもうなずいてみせた。フレーフレー久美ちゃん。こころのなかで叫んでいたら泣けてきた。運転手のアナウンスが停車を告げた。フレーフレー久美ちゃん。フレーフレー久美ちゃん。バスのなかを滑るようにして出口に向かっていた。フレーフレー久美ちゃん。原付のクラクションがしなくなっていた。フレーフレー久美ちゃん。もう口に出してつぶやいていた。座っている乗客がちらっと見ている。フレーフレー久美ちゃん。フレーフレー久美ちゃん。大悟にはそれがなにものかがくれている応援のように聞こえた。
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