ギフト/吉岡ペペロ
の毒だった。父には迷惑をかけるだろう。
「大悟さん、お疲れ様です」久美ちゃんがやって来た。見られたのではないか。洞窟のなかに射したひかりを吟味するように大悟は久美ちゃんを見つめた。惨めな気持ちに自堕落な隠蔽への激情があふれた。大悟は洞窟のなかで彼女を見つめ、殺そうとして彼女に駆け寄った。
駆け寄ったとき子供のころ交通事故にあったことを思い出した。道路をはさんだ向こうに友達が立っていた。横断歩道ではないところを飛び出すと急ブレーキの音がして大悟はガードレールを越えて転がった。すくっと立ってすぐうずくまった。人だかりができていた。母親がいた。虫の知らせで飛んできたのだ。
ほんとは久美ちゃんに
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)