ギフト/吉岡ペペロ
 
ゃべり続けた。
大悟も裸のまんまソファに体育座りをして上から落ちてくる久美ちゃんの声を聞いていた。
大悟は自分の下着で、お腹のあたりで冷えてぱりぱりになった自分のものではない体液をぬぐった。うっすらと魚の臭いがした。キッチンに臥すマスターの血の匂いが届いているようにも思えた。久美ちゃんの声と魚の臭いが、大悟に盛っていた隠蔽への激情をだんだん鎮火させていった。
「着ろよ」大悟が下からにらむように言うと、
「うん」と久美ちゃんは返事をして大悟から差し出された下着で胸を覆った。そしてまたしゃべり続けながら身に付けていった。それを遮るように、
「俺……行くわ」大悟も立ち上がって身支度をはじめた。
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