37.5℃/竹森
音楽視聴遍歴。マグカップから紙コップの使い捨てへ。紙コップの使い捨てから、紙コップの使い回しへ。それが僕だ。それが、職業よりも先に、死に方を決めるべきだった、僕だ。
部屋のどこかから立ち昇る酸っぱい臭いが充満しているが、窓を開けようとは思わない。工事の音がうるさいからだ。祝日には、騒音が中断された事に、少しだけ驚いた。そういえば、工事作業員も人間だったのだなと。その午後、僕は強烈な安堵感に抱かれながら、まどろみの中で、怠惰な睡眠を貪っていた。どこかの一軒家の壁から、たどたどしいシューベルトのピアノ・ソナタが漏れ出て、薄雲の様に、誰もの無意識にしか語りかけ得ない言語で以って、青空を透明な薄膜で
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