37.5℃/竹森
膜で覆い尽くしてしまえば良かったのに。
僕の身体にも、血が、流れているのだよと。恋人もいない、ピアノも弾けない僕は、左の掌に右手の人差し指を乗せ、スーッと一番太い血管を辿っていく。腕、肩、胸、心臓、脇、腰、太ももへと。僕の身体にも、血は、流れていたのだよと、微笑み。人知れず、吐血した。
死に方を僕は、もっと早くに、誰よりも早くに、決めなくてはいけなかったのに。僕は。
ゴミ溜めの様なこの部屋に埋もれているであろう、腐った食品が、酸っぱい臭いを発しているものとばかり思っていたが、この臭い、もしかしたら僕の穴という穴から漏れ出ているのかもしれないな。もしもこの僕という肉体が生命で、いず
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