書く動力 5/Dr.Jaco
を画面(ないしは紙)に置いていくと、その都度
少しずつ逃げていくのだ。というか、私が置いた文字が「言葉さん」にはじかれるよ
うに、ずれているのだ。更に、照準が合っているつもりでもずれるのだ。手掴かみし
た魚がぬるっと逃げるような感覚。
腹の底に確かに抱えて、孕んでいるものが感知されているのに、「本当に私の子なの」
といった文字が置かれていく。そりゃ憎い。だって古典的だけど愛するって征服する
ことらしいし、不服従=憎悪の対象だもの。不服従の「言葉さん」は貴方に届かない
し、ってもう分かっちゃってるし。
私の中で生き返った文字達のように生き返りはしない言葉を、自分が書いているこ
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