わたしが詩の中で掻き抱くあなたは/ただのみきや
にも魅せられた盗掘者
あなたはインコを食べる光と闇の混濁に蒼を靡かせながら
極彩色の囀りの群れが舌の上で蕩けている
わたしは歌を失くしたウシガエル 静物となり
瞼の裏の砂浜で波に消え去る遺書を連ねている
あなたはイメージの連鎖爆発 閃光 言葉より早い
わたしは少年のまま老いて往く岸辺の流木が乾くように
暁と日没 月の満ち欠け 死と再生の儀式が繰り返される
蒸留した霊をグラスに注ぐあなたの匂いを数滴垂らし指で弄ぶ
夏の陽射しの中で朝顔のようなあなたを見た
暗く狭い路地から飛び出して過去を踏み拉き追いかける
四辻のいつも対角にあなたはいる赤信号の向こう日傘
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