わたしが詩の中で掻き抱くあなたは/ただのみきや
 
日傘をさして
ナイフを咥え震えているこの愛は飼い慣らされた狂気のレモン

刹那 斜に眼差すその笑み憎らしいほど艶に仇なす血文字と化して
ああ掻き抱くその首は香しい匂いを放ちそれはすでに

あなたではない詩体 あなたの包装紙 あなたの鱗粉
満たされない恋情だけがわたしの取り分



         《わたしが詩の中で掻き抱くあなたは:2015年6月13日》







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