その夜の仕事/もり
には助手席から一喝があり、車内はまた沈黙の箱と化す。
アニス、ロベッジ、ケッパー。あいつらに来て欲しかった。あいつらなら殺し嫌いな俺を嘲笑しつつも、きっちり仕事をして分け前だけはくれたに違いない。
あぁ、そうだ。そしてホアハウンド。あいつがいればヒットマンは5人もいらない。俺が運転してあいつと2人で充分だ。ただホアハウンドの真の実力を知る者はおそらく俺しかいない。
俺がある取引中にハメられて、自動小銃の檻に包囲されたとき、全員を撃ち殺したのがホアハウンドだった。7、8人はいただろうか。しかも、拳銃で。
流れるような殺戮だった。初めて地獄絵図を美しいと思えた。
何故実力を隠してるんだ?
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