額縁/葉leaf
 
。私の原風景はいわば彼岸から眺め返された風景だと言ってもいい。もはや人生が終焉したという絶望のまなざしのもと、人生の向こう側から眺め返された、血のにじんだ自然の移り変わりが私の原風景なのだった。
かつて、私の原風景は、子どもの頃によく遊んだ近所の山の風景だった。そこには子どもの頃の記憶が膨大に詰まっていた。だが、原風景とはそもそも唯一ではないのだ。原風景など、展覧会の絵のように無数にある。自分の感情によって強く色づけられ、自分の体験によって長く引き伸ばされた風景は無数にあり、原風景とはそのうちのどれかに額縁がかかったものだと思っていい。これは真に展示すべきものだと、ひときわ豪華な額縁がかかった展
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