額縁/葉leaf
た展覧会の風景、それが原風景だ。
私の人生の展覧会が、この明るい広場で自由にとり行われている。ひときわ豪華な額縁がかかっているのが傷ついた青春の風景であり、それが現在の私の原風景だ。この額縁は近所の山の風景から取り外され、私の激しい苦悶の手つきによりここに取り付けられたわけだ。だが、これだけ目立つようにしても鑑賞者は私一人のみ。私はこれから語り出して行かなければならない。この額縁にふさわしいだけの言葉で、この原風景にまつわる無限のエピソードを。事実か虚構かは問わない。この額縁の豪華さは無限に言説を生み出す豊饒さの記号である。この明るい広場に人は呼べない。私は再び社会という狭い万華鏡の中で、その間隙に無限のエピソードを押し込んでいく。この額縁の威厳にかけて、私の原風景の無限のエピソードを。
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