大きな世界/葉leaf
 



社会人になったとき、私の目は少年のような熱を帯びていたに違いない。学者になる夢が壊れたり、大失恋したり、世間の醜さに絶望したり、私のそれまでの人生には挫折の爪痕ばかりがくっきり残っていた。挫折によって砕けたはずの純粋な理想の数々、それらは砕けて散り散りになっても決してその純粋さを失わなかった。私は社会人になるにあたって、その純粋なかけらをリサイクルし、新たな純粋なブレスレットを装着した。それが社会への夢というブレスレットだったのだ。私は何度壊れてもくじけずに純粋な理想の像を描く。たとえそれが壊れる定めだとわかっていても。
私は、社会というものは、社会常識を身につけた人たちが、無駄な感
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