和解/吉岡ペペロ
持ち主もいた。
トータルスコアはぼくと男しか把握していないはずなのに、ぼくがこのゲームでいよいよ負けるとなったとき観客が名前を呼んで応援してくれた。
いいところを見せようとして思いっ切り打ち込んだサーブでダブルフォルトを犯しぼくは負けた。
施設の持ち主が、「うまくなったなあ」と感心してくれた。そして、「この枇杷の実熟してもったいないから、勝手に食べてくれてええで」と言ってくれた。
ぼくは男とふたりで枇杷の実を摘んだ。水をためたバケツにオレンジ色の実をどんどん入れていった。枇杷は間近で見ると白っぽかった。ぼくらの試合に刺激を受けたのかさっきまで観客だった仲間がダブルスで試合を始めていた。試合
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