和解/吉岡ペペロ
 
て短いため息がでた。
教室には5人しかいなかった。先生がすぐ採点してくれてぼくは満点だった。藁半紙の答案に暗色の赤いボールペンでたくさんの丸とVERYGOOD!!の文字があった。
ぼくはこの先生のことが好きだった。ぼくは童貞だった。そして童貞にありがちな正義感にも似た恋愛感情をぼくは先生にいだいていた。
ぼくはこんなめんどくさいことをする彼を恨んだ。ただぼくのことを好きではないだけでいいじゃないか。なにも無視することでみんなにアピールしなくてもいいじゃないか。
チョコレートサンデーが大好きだとかアスピリンが心臓に悪いだとかの内容の英語の長文をテキストにして、その日の授業は進められていた。
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