和解/吉岡ペペロ
 
るようなことはついになかった。
彼は当時ぼくが通っていた施設の仲間のひとりだった。突然そんなことをされてぼくは動揺した。
ぼくが仲間といると彼はぼくらの輪に加わらなかった。初めて無視された日、ぼくはいぶかしみもしたがホッともしていた。ぼくは彼のことが好きではなかった。一緒にいるととても疲れた。
電車に乗ってて彼に、「死ぬなよ」と言われたことがあった。
彼から見るとぼくは人生に絶望しているように映っていたのだろう。それとも死相でも出ていたのだろうか。
「ふざけんなよ、なにわけわからんこと言うとんねん」
ぼくはあまりに唐突な彼の発言にキレた。
あれが原因か。でもあれは何ヶ月もまえのことだ
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