ものさし/夏美かをる
そのうち・・・
あれ?娘に羽が生えてきた
あっ、娘がちょうちょになった
そう、娘は可憐で可愛らしいちょうちょ
こちらの花から あちらの花へ
そちらの花から 向こうの花へ
ひら ひら ひら ひら
軽やかに飛び回るちいちゃなちょうちょの存在になんて
所詮誰も気づかない
ああ、ちょうちょよ、ちょうちょ
楽しそうに咲き誇っている桜の花の 花から花へ
いや、待って!娘はちょうちょなんかじゃない
思わず立ち上がって近くのグループの子らに声を掛ける
「何か彼女にできることをさせてくれないかな?」
だけど何も起こらない
やっぱり娘はちょうちょだったんだ
そう、ちょうちょで
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