ものさし/夏美かをる
ょでいいんだ
群れ集う桜の花には たとえ無視されても
そのちょうちょは可憐でとっても可愛いのだから、
ちょうちょはちょうちょなりに一生懸命飛んでいるのだから
ちょうちょを追い続けているうち眩暈を感じたので
赤ペンの先に再び意識を集中させた時だった
花のひとつが突如ざわっと動いたのはー
男の子だった
「点と点をものさしを使ってつなげて
出来た形をはさみで切ってごらん」
点々がいっぱい描かれた画用紙が男の子の手から
ちょうちょに向かって不意に放たれた瞬間
娘は娘の姿になり、
茶色い瞳をキラリと輝かせて
まっしぐらにものさしとはさみを取りに行った
さあ、娘よ
つ
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