辻斬り批評モードー辻征夫の「むずかしくない詩の話」を読んでみた戦慄/石川和広
 
定めざるをえなかった谷川という詩人の言葉への、愛のある批判としか言いようがなく、それは、辻の、詩の外側の限界であるから、彼は五十二歳の谷川の素顔の写真を見て「化粧を落とした顔をさらした」という。
 そして、年がその当時の谷川に近づいてきて、写真を見たら


 べつだん衝撃は感じないで、ごく親しい隣人という感じがした。
 私の道化師ぶりも、多少は板についてきたのだろうか。


辻は、こう述懐する。もうすぐ「神さま」に呼ばれる八年ほど前のことである。   

辻は、中也の息を引き取った。全ては、真実でないとしても、「かぜのひきかた」も詩人の孤独をうたっていないだろうか。
そし
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