辻斬り批評モードー辻征夫の「むずかしくない詩の話」を読んでみた戦慄/石川和広
と書いておいて
現実的に、医者の息子で、労働に実をすり減らしたりしないでよかったので、「資質のままに」生きることが出来よ辻は筆を進め、ついに
こういう人はきっと、ちょうど三十歳くらいで、
神さまに呼ばれるのだ。
と締める。辻さんのいう労働は、微妙に中也の人との付き合い方の「わからない」に寄り添いながら、最後に、こうして死んでいくのは摂理だというように、締める。
ここにも辻の詩と生命のかかわりへの手触りがある。
ほとんど、科学者のようにクールで、しかし、ちゃんと詩人した、最後の人だと感じさせる。「こころが とおく/うすくたなびいていて」、ぎりぎり、古典の歌の、香り
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