辻斬り批評モードー辻征夫の「むずかしくない詩の話」を読んでみた戦慄/石川和広
 
の悲しみー中原中也の詩」という中也論の一行目で


 中原中也は、この世の中でどういう風に人と
 付き合っていったらいいのか、わからない人だったような感じである。
 

いきなりこの書き出しは、参った。「人だったような感じ」だから、その人を、書かれたものから嗅ぎあてているのだが、中也の、どこに向けていいかわからない感じの言葉や、とんちんかんな中也の生活での言動も、当てていて、書き出しで、中也をノックアウトしている。
しかし、ここから


 「私も、全てを」、全世界を感ずる者でありたいという人間
  にとって、この世の中での身の処し方など問題にもならなかった。


と書
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