辻斬り批評モードー辻征夫の「むずかしくない詩の話」を読んでみた戦慄/石川和広
 
なかったことは、辻も追いつつだったのだろうが、たぶん、辻も気づいていただろう。


「世間知ラズ」を買ってから、買ったときは、なにか、地すべりのような詩集だと感じた。
しかし、いまの僕には、あの詩集を思い出すとき、雨音のようなノイズを聴く感じがする。詩の世界と、いうのも、照れるが、谷川は、多分、辻のいう「中也」がわからなかった「世の中」というものへの、あるアプローチを「知ラズ」という形で明示した。
 辻と谷川の対談に、辻がコメントを付したものを「ぼくじゃないほんとうのぼく」と辻は題した。

谷川は、またも「挑戦」したが、今度は「世間」と相手が名指されている。

「世間」は、僕も生
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