辻斬り批評モードー辻征夫の「むずかしくない詩の話」を読んでみた戦慄/石川和広
も生きてきたか謎な、もう未知な空間である。
谷川と違うのは、ぼくが相手にしている周囲は「世間」かどうかもわからない、限界の見えない、そして、しかし様々な不文律で囲まれ、それを内在しているだろう僕だ。
そこは、確かに、敵を知り己を知る谷川の空間とは、反転した己と敵が、パラレルな、ある意味、戦闘地域と非戦闘地域という言葉遊びの分割が通じない空間である。
谷川は今も新作を発表し続けている。しかし、彼は戦う人である。
僕も、戦うのだが、言葉の紛争地帯で、飯をどうやって食うか?
僕の戦いは、こうだ。そして、それは、生の酷薄さが、自分をバラバラにしながら、それを新たに、再構成させる、自分への
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