辻斬り批評モードー辻征夫の「むずかしくない詩の話」を読んでみた戦慄/石川和広
 
そい ひとはだから
 まどをしめて あたたかく
 していて
 これはかぜを
 ひいているひととおなじだから
 ひとは かるく
 かぜかい?
 とたずねる

 それはかぜではないのだが
 とにかくかぜではないのだが
 こころぼそい ときの
 こころぼそい ひとは
 ひとにあらがう
 げんきもなく
 かぜです
 と
 つぶやいてしまう

 すると ごらん
 さびしさと
 かなしさがいっしゅんに
 さようして
 こころぼそい
 ひとのにくたいは
 すでにたかいねつをはっしている
 りっぱに きちんと
 かぜをひいたのである



この詩から、
[次のページ]
戻る   Point(11)