『聖母ジェンマ』  卵から始まるはな詩?/ただのみきや
 
鳥…… それもだみ声 カモか

「可愛い可愛いわたしの赤ちゃん
 すぐに帰ってきますからね
 良い子でお留守番していてね」

ジャンマの目がぱちりと開いた
?夢じゃあない しめた 雛鳥だ! ?
気配を殺して石になる 
ピンと立てた聞き耳だけきょろきょろ
自分の心臓の音がやたらと響いている
――やがて カモの飛び去る音
ジャンマは音がした方へ 蛇のようにするりそろり
鼻を効かせながら ゆっくり 慎重に
倒木を越えて 川岸を少し遡り 遡り 近づいて
発見した だが――

?――なんだこりゃ?
そこには 卵が一個だけ ちょこんと転がっている

ジェンマはちょっとが
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(22)