『聖母ジェンマ』 卵から始まるはな詩?/ただのみきや
鳥…… それもだみ声 カモか
「可愛い可愛いわたしの赤ちゃん
すぐに帰ってきますからね
良い子でお留守番していてね」
ジャンマの目がぱちりと開いた
?夢じゃあない しめた 雛鳥だ! ?
気配を殺して石になる
ピンと立てた聞き耳だけきょろきょろ
自分の心臓の音がやたらと響いている
――やがて カモの飛び去る音
ジャンマは音がした方へ 蛇のようにするりそろり
鼻を効かせながら ゆっくり 慎重に
倒木を越えて 川岸を少し遡り 遡り 近づいて
発見した だが――
?――なんだこりゃ?
そこには 卵が一個だけ ちょこんと転がっている
ジェンマはちょっとが
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