『聖母ジェンマ』 卵から始まるはな詩?/ただのみきや
とがっかりした
卵は美味い それは解っている
だが卵は食べにくいのだ
いつも半分は地面にこぼしてしまう
ジャンマはしばし考えた
?おれは頭がいいからな?
やがて卵をそっと咥えると
狼の遠吠えみたいに空を見上げた これで
卵を割ると中身が口の中へ落ちるというわけだ
だが すぐに異変に気が付いた
?なんだ 震えているぞ? ?
ジャンマはそっと卵を巣に戻した
するとすぐに小さなひびが入り やがて
内側から小さな穴が
?しめしめ 卵が雛に化けるぞ
ここはひとつ待つことにしよう
おれは頭がいいからな?
空腹は絶頂に達している
それはとてつもなく長い
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