『聖母ジェンマ』  卵から始まるはな詩?/ただのみきや
 
とがっかりした
卵は美味い それは解っている
だが卵は食べにくいのだ
いつも半分は地面にこぼしてしまう
ジャンマはしばし考えた  

?おれは頭がいいからな?
やがて卵をそっと咥えると
狼の遠吠えみたいに空を見上げた これで
卵を割ると中身が口の中へ落ちるというわけだ
だが すぐに異変に気が付いた

?なんだ 震えているぞ? ?
ジャンマはそっと卵を巣に戻した 
するとすぐに小さなひびが入り やがて 
内側から小さな穴が

?しめしめ 卵が雛に化けるぞ
 ここはひとつ待つことにしよう
 おれは頭がいいからな?
空腹は絶頂に達している
それはとてつもなく長い
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(22)