傷を編む/ホロウ・シカエルボク
 
ら離れることは出来ない、194号線、荒ぶる神のような静けさと激しさを湛えた河のそばを流しながら、断絶の意義を確かに感じた正午、農作業をしている連中に昼飯を食わせるための暢気な音楽が小さな集落に流れていた…もちろんおれはそこで飯をくったりはしなかった、人間にはそれぞれにふさわしい場所というものがあるのだ


午後、生命の在り方は自室でのぼせていた、遅くまで眠ることが出来なくなったせいで、時間がやたらとゆっくり過ぎる、それはいいことに違いなかった、だが、そんな流れにはどこか、焦れたような気分を覚えることがあった、なにひとつ、先を急いでいることなどないのに、だ…台所の皿を片付け、茶を沸かし、米を磨
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