傷を編む/ホロウ・シカエルボク
 





生ぬるい夜の穿孔だ、レーザーメスのような鋭さと正確さで、おれの魂は一本の絹糸のような血液を吹き上げる、それは紙の上に散らばり、ひとつの未熟なフレーズとなり、そのままで終わる…それは宿命であり、決定的な終わりだ、おれが、正直であろうとするかぎり…


すこし雲は多すぎたけれど、晴れた日だった、国道の電光掲示板が示す気温は、25度か26度をうろうろしていた、このところの、きちがいじみた気温からすればそれはすこし涼しいとかんじるくらいで、おれはずっとすこし震えたり汗ばんだりしていた―50ccのエンジンはきっと、人間がシンクロしうるギリギリのスケールだ―だからおれはこの乗物から離
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