巨大な羽ばたきのビート/ホロウ・シカエルボク
命などをどうこうするつもりなんてないだろう。精神のなすものなのか、それともなにかしら外的要因があるものなのかは判らないけれど、確かにこれはおれの存在を潰すようなものではないはずだ。そういう類のものならおれはきっとそう気付くだろう。おれにはいまのところ何をするつもりもなかった。なにせ、事態はまるで動いてはいないのだ。巨大な鳥の羽ばたきのような強烈なイメージをもった何か。こいつがなにかしらのアクションを起こすまでは考えを先に進めることなど出来そうもない。おれは時計から目を離して、そいつがいるらしい中空をぼんやりと眺めた。そして電灯の傘が汚れているな、と思った。鳥はそのあいだも羽ばたいていて、部屋はそい
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