巨大な羽ばたきのビート/ホロウ・シカエルボク
 








鳥の羽ばたく音が聞こえる。部屋の中で。その鳥はとても大きく、翼を広げた影には戦闘機の機影のような威圧感さえ感じさせる。空気を鉄の塊にして叩きつけるような、猛烈な羽ばたき。それがなぜここで行われているのかおれにはさっぱり理解出来ない。ただ気付いたらそいつはここに居て、壁を振動させるほどの羽ばたきを繰り返している。「よう」とおれは話しかける。どこに向けて話しかけていいのか判らない。というのも、だらだらと先に書いた像はおれの頭の中でそいつがそういう風に具現化されているというだけの話で、実際のところ、そいつがどういうものなのかはおれにもまるで判ってはいないのだ。つまり、それ
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