長くも短くもなく終わりも始まりもまた/ただのみきや
波紋はぶつかり
時に心地よい響きを奏で
時に不協和音をもたらす
言わなければならない言葉を喉につまらせたまま
いつまでも置き去りにされた子どもの嗚咽や
真っ赤に熱した鋏で人生を裁断されて往く男の
ただ内壁にだけ響き渡る絶叫
あるいは長い影のようにどこまでもついて来る嘲笑
望まないざわめきばかり過敏になって
ああだから
熟れた鏡を持つ人よ
どうか たまには見つめないで
風に踊る木々を瞳に浮かべながら
花から花へ飛び回る蜜蜂の羽音に首を竦めながら
母親の腕の中でむずかる子どもの喃語を耳に含みながら
孤独の中で情報に溺れたまま
通勤の人の海に身を投じながら
恋
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