長くも短くもなく終わりも始まりもまた/ただのみきや
 

恋人の瞳に過る不穏な影を認めながら
朝のニュースが通り魔となって
残して行った傷口に消毒も包帯もしないまま
コップに半分の牛乳を注ぎながら
そのあまりの白さに困惑しながら

それらを目にしながら  
たまにはそれらに縛られないで 
全ての事物事象の向こうから見つめている
決して見えない永遠と
目と目を合わせる
そんなつもりで

静止 して

百万分の一秒でも百万年でも
永遠の視座からは差ほどの違いもなく
それが見えなくても触れられなくても
わたしたちが捉えようとするとき
すでにわたしたちは捕えられている
遍(あまね)く織物のように織り込まれ編み込まれながら
そのほとんどを虚ろが占めるわたしたちの魂に
蜘蛛の巣の如く巡らされた弦が
いか様にも微かにも響いて来ないなんて 
誰にも言えはしないのだから




   《長くも短くもなく終わりも始まりもまた:2015年6月3日》









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