殺し屋のパラドックス/ただのみきや
やがて反転攻勢に出る
個人が受けとる給与の数字を少しずつ殺したり
ひどくなると社員の数を殺したりもする
それらの数字は何ら思想もないのに赤と呼ばれ
ついには役員報酬の数字を殺し
株価の数字を殺し
しまいに会社も殺してしまう
そうして数字たちは勝ち鬨の声を上げ
負債総額の旗は高く掲げられる
仮に
死ぬ気で立ち向かい毎月の数字をみな抹殺し
一年の数字を全滅させたとして
翌年なにが待っているか
それは前の年よりさらに巨額な数字なのだ
そうクリアしてもしなくても
数字との戦いは果てしなく続く
負ければ負けるほど自分の数字は殺され
勝てば勝つほど殺さなければならな
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