ナボコフ『青白い炎』第一篇・試訳/春日線香
 

トゥーウィー、トゥーウィーという澄んだ声に変わり、それから
カム・ヒア、カム・ヒア、カム・ヒルルル……と金切り声になる。
尾を高く上げて振ったり、そっと上に飛び跳ねたり
優雅に翼をばたつかせていたかと思うと、突然(トゥーウィー!と鳴いて)
彼女の止まり木に――真新しいテレビアンテナに――戻っていくのだ。
 
両親が死んだとき、わたしはまだ幼かった。
二人とも鳥類学者だった。わたしは
彼らを呼び起こそうと数知れぬ努力を重ねた。
だから今では千人もの両親たちに囲まれている。が、残念なことに
彼らは、彼ら自身の光輝に溶けて薄れてしまう。
しかしある言葉、ことあるごとに見たり聞い
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