ナボコフ『青白い炎』第一篇・試訳/春日線香
う。
彼が天の川を見るのは、ただ立小便をしているときだけなのだから。
昔も今も、わたしは大枝に鞭打たれたり
切り株につまずいたりと、危険を冒して歩いてきた。
わたしは喘息持ちで、びっこででぶっちょで
ボールを弾ませたことも、バットを振ったこともなかった。
わたしは影だった、窓ガラスに映じた見せかけの遠さに
殺された連雀の影だった。
わたしは頭脳と五感(そのうちのひとつはユニークな)を持ち合わせていたが
他の点ではからっきしだめだった。
夢の中では他の男の子たちと遊んだが
本当のところは友達を妬んでなどいなかったのだ――おそらく
濡れた砂の上にそっけなくも巧みに残された
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