ロクデナシ/為平 澪
 
そして寂しかったのだ。働いても働いても、家族に認められない辛さ。一番幸せにしたい人に罵られる辛さ。僕は何故わかってあげられなかったんだろう。社会的にかけている物が、人間的に欠けているものと、どうして言える?

 僕が本当に憎んでいたのは、そんなに何でもできて何でも知っているくせに父の愛を信じられない自分の孤独をおしつけてきた、かわいそうな母へだったのかもしれない。
 誰も誉められたい。誰も認められたい。そして誰も愛されたい。ロクデナシは父さんじゃない。父と母の痛みを裁き続けた僕自身だったのだ・・・。
 「父さん、僕に言ったさっきの言葉、母さんにも言ってあげなよ・・・。」
 僕はそ
[次のページ]
戻る   Point(3)