ロクデナシ/為平 澪
はそう言うのがやっとで、すぐ眠ってしまった。もう怖い夢は見ないような気がした。
目覚めたのは次の日の夕方だった。ゆっくりと体を起こして窓の外をなんとなく見ていた。コンコンとノックする音がして、僕はドアをふり向いた。
「入るぜ。」
――鶴町だった。
おそらく南が僕の自殺未遂の事を彼に告げたのだろう・・・。もうそんなことはどうでもよかった。僕の心は自然と穏やかだった。友達がきてくれたことの方がむしろ嬉しかった。
「お前、ちょっと見ない間にえらく儚くなっちまったなぁ。」
と、いうのが鶴町の第一声だった。
「相変わらず、君はおもしろいなぁ。」
と、小さく笑うと
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