ロクデナシ/為平 澪
たった一人の父さんと母さんの自慢の息子なんだから。私は一人で、淋しいんだ。明、早く帰ってこい�
手紙を読み終ると鶴町は続けた。
「それを少年院で読んで嬉しかったんだよ。俺それまで親父から母さんを奪ったのは自分だって思ってた。俺は、こんなにも愛されて望まれて生まれてきたんだって。ホント誇りに思うよ。そしてね・・・。気付いたんだ。俺が半殺しにした奴の親も親父のように泣いてたんじゃないかって・・・。」
死んでもいい親なんていない。
望まれない子供なんていない。
僕たちはそう確かめ合った。
二人で黙って夕焼けを見る。本当にきれいな空だった。茜雲が
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