そしてすべてはあるべき色に/ホロウ・シカエルボク
 

暗闇だから見えないということはない
夜が明けたから救われるなんて信じてはいけない
もしもなにかしら確信していることがあるならいますぐに恥じた方がいい


貫通してまだ
その先の道が出来上がっていない辺鄙な山の短いトンネルを
歩いて潜ってみたことがある
そこにあるのは犯されかけた女のような山肌であり
妙に大人しい声で鳴く姿の見えない鳥たちだった
その不完全はまもなく失われて
ただのトンネルと二車線の舗装道路になった
あのとき、トンネルを出てすぐの地面に
血を垂らして埋めた
それはすぐに土の中に隠れて行った


渇いて、錆びていく安っぽいデカダンス
退廃なんて最早
[次のページ]
戻る   Point(3)