そしてすべてはあるべき色に/ホロウ・シカエルボク
 
最早笑い話ほどにお決まりだ
誰かが首を吊ってぶら下っている観光地の展望レストラン跡で
そこには居ないはずの影をいくつか見た
そいつらはなにも語りはしなかったが
蝉の幼虫のように愚かしく美しかった
どんな決まりごともなかったので
首吊り死体が腐り落ちるまでそのあたりで見ていようと思った


そいつが処刑台で崩れ落ちたのは二週間後のことで
顔は
確かにいちばん見覚えのある人間のものだった
この夢は覚めるのか
俺は




ハムノイズのように鳴り続ける空を見上げていた












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