そしてすべてはあるべき色に/ホロウ・シカエルボク
 
覚えがあった
気付かなかったふりをしてまたもとのところに戻した
いちど持ち上げられたそれはいっそうの血を吸って
見えないところまで沈んでいった
まるでそれがそいつの役目であったとでも言うように


それはたったひとつの出来事じゃない
それはたったひとつの意志じゃない
それは正しいとか間違いとかいうようなものじゃない
それは都合のいい部分だけを抜き取っていいものでもない
あるものはあるがまま
当り前にうたわれることを宿命としている
本当に産まれてくるものは存在を感じさせない
いつのまにか伸びている影のように気付いたらそこにいる


悲鳴だからと恐れてはいけない

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