朦朧たる旋律、そして簡略化された天井の構図/ホロウ・シカエルボク
 
に迷いがない、でもそれは象に例えるなら、鼻の長さについて話しているだけで、丸い巨大な頭骨や、羽を思わせる耳や、硬い皮膚に覆われた巨大な体躯や、丸太を地面に押し付けているような脚や、ろくに存在感のない尻尾のことについては語ることはないのだ―ただひとつの真実を話そうと躍起になってしまうときは、鼻の長さだけを話して完結してしまうのが関の山だ、もちろんそう、俺は象について語るために羅列しているのではない、俺が象について語る気があるかどうかはまた別の話だ―釈然としないエンディングを迎える物語が昔から好きだった。ハッピーエンドはハナから嘘くさくて嫌いだった、そこに信じるものはなにもない気がした、それはあまりに
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