朦朧たる旋律、そして簡略化された天井の構図/ホロウ・シカエルボク
必ずどこかに居るはずさ―時刻は21時を少し回ったところで、いつもは賑やかな表通りも今夜はなぜか死んだように静まり返っている、気付かぬうちに流れる血のような大人しい雨が降り続いている、壁と天井の継目のところをずっと眺めていたのは、そうしているのが一番気楽だったからだ
脳味噌の片隅にながいこと放ったらかしにされていたそこでは最古の通信機器が唐突に通電し、どこかの研究所からその道の権威を連れてこないといけないような言語を羅列し始める、それはきっと簡単に言うなら混沌というものに違いないだろうが、そこには同時に奇妙な興奮がある、それは確かなことだ…それは最古のものでありながら最新の息吹であり、それ
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